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2023.4.12

3.相続人が未成年者(18歳未満)の場合の注意点

3.相続人が未成年者(18歳未満)の場合の注意点

相続人が18歳未満(未成年)であっても相続権を有することに変わりはありません。

しかし、未成年者の親権者(両親等)が法定代理人となるため、遺産分割協議には法定代理人が代わりに参加します。

この際に、親権を行使する法定代理人も、自ら相続人として遺産分割協議に参加している場合は、「利益相反」の関係が生じるため、未成年者の「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てる必要が生じますので、注意しましょう。

 

<もっと詳しく!>

 

ある人がお亡くなりになると、相続が開始しますが、その方に未成年者のお子さまがいる場合には、基本的に相続の手続きに多大な支障が生じてしまいます。

相続の手続きの最大の難関となるのは、いうまでもなく「遺産分割協議手続き」です。

これは、亡くなった方の財産(=遺産)から、誰が何をもらうか話し合って決めて、文書化することです。未成年の子どもであっても、立派な相続人ですのでこの協議に参加する権利があるのです。

ところで、未成年のこどもについては、親が法律上の代理人(法定代理人)として、財産の管理処分を行うことができます。遺産分割協議も財産の管理処分のひとつ。したがって親が子の代理人として遺産分割ができそうです。

しかし、相続では親も子も同じ相続人である場合がほとんどだと思いますので、そういう場合は遺産分割協議が「利益相反行為」となり、親の代理権がなくなってしまうのです。

そこで、「家庭裁判所」の登場です。家庭裁判所に親の代わりの「特別代理人」を選んでもらうという「裁判手続」が必要になってきてしまうのです。

 

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<用語の説明>

利益相反行為とは

法律行為自体や外形からみて,親権者の利益になるが未成年者にとっては不利益になる行為のことをいいます。

特別代理人とは

本来、未成年者は親権者が法定代理人として法律行為をします。しかし、未成年者と親権者の間で「利益相反」の状態が生じる場合には、

裁判所が選任する未成年者の代理人として特別代理人が法律行為を行います。

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<例>

以下の事例の場合には未成年者の特別代理人の選任の申立をする必要があります。

(例)被相続人Aが亡くなり、配偶者Bと子C(5歳)で遺産分割協議をする場合(※冒頭の画像を参照下さい)

 

<手続きの方法>

親権者または利害関係人が、未成年者のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。

申立人が、特別代理人の候補者をたてることもできますが、候補者が特別代理人に選ばれるかは裁判所の判断となります。

また遺産分割協議のための特別代理人の選任の申し立てにおいては、基本的に遺産分割協議の案を提出することがもとめられます。

・申立先

未成年者の住所地を管轄する裁判所です。

・費用

収入印紙800円、予納郵券(切手)が必要になります。予納郵券の金額は管轄の裁判所により異なります。

詳しくは裁判所のHPをご覧ください。

 

<遺産分割協議の案について>

上記例において、配偶者Bが、自分で遺産の全てを相続し、子Cが遺産を一切取得しないようなわけかたを希望する場合には、未成年者の権利が形式的には守られていないとみて、裁判所はその遺産分割協議案を認めない可能性が高いといわれています。よほどの事情がない限り、申し立ての手続きにおいては、未成年者の法定相続分程度を確保した遺産分割協議案を提出するとスムーズでしょう。

(この場合では配偶者Bが2分の1、子Cも2分の1を相続するといった遺産分割協議案です。)

 

<申し立ての期限>

特別代理人の選任には明確な期限はありませんが、例えば相続放棄をする場合には自己のために相続があったことを知ってから3か月以内、また、相続税申告は死亡の事実を知った日の翌日から10か月以内の期限があります。

とくに多いのが相続税申告の関係で遺産分割協議をする必要があるです。この場合には申立をする前までに遺産分割協議案をまとめておく必要があります。

特別代理人の選任には遺産分割協議案の作成や、裁判所での審判等想定よりも時間がかかる場合がありますございます。

そのため早めに遺産分割協議案を検討し、裁判所へ特別代理人の選任の申立をすることをおすすめします。

 

<特別代理人の仕事①遺産分割協議>

基本的には特別代理人は家庭裁判所で審判された内容に沿って仕事をします。

家庭裁判所で審判された行為(遺産分割協議)が終われば、任務は終了します。

具体的には遺産分割協議書に未成年者の特別代理人として、署名捺印をすることになります。

 

<特別代理人の仕事②相続放棄>

相続人が相続を一切合切しないという特別な手続きがあります(相続放棄)。これは家庭裁判所に相続放棄の申し述べをすることで効果が生じます。

これを親と未成年者が同時に手続する場合には、未成年者だけの利益を害するわけでなないので、特別代理人を選任する必要はありません。

他方で、親自身は相続放棄手続をせず、未成年者についてのみ、未成年者の法定代理人として親が相続放棄をすることは、未成年者の利益が害される恐れがあるためできません。

この場合も、特別代理人の選任をしてもらい、特別代理人によってすることが必要になります。

未成年者のいる場合の相続の手続きをスムーズに進めるためにも、できるだけお早めに専門家へ相談するようにしましょう。

 

<参照>

民法第826条

親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

 

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