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2023.4.13

9.生命保険契約の調査方法

9.生命保険契約の調査方法

「被相続人が保険契約者又は被保険者になっている保険契約の有無がわからない」場合の基本的な調査方法として、

 

「生命保険協会」に対して行う「生命保険契約照会制度」という方法があります。

 

生命保険契約の有無は被相続人の通帳の引き落とし記録等を見ることでも推測が可能ですが、

「一時払い」の生命保険契約もあるため、通帳の記載のみで判断はできません。

手続きもそれほど難しくはないため、積極的に利用することを推奨します。

 

<もっと詳しく!>

 

【葬儀費用や供養等の資金源となる生命保険】

人が亡くなると、お葬式や返礼品、寺院費用等、決して安価とは言えない費用が発生します。

このような時、遺族への負担が少しでも減るよう生命保険に加入されている方は多いでしょう。

また、生命保険の被保険者が死亡した場合、保険金の受取人から保険会社へ連絡し、受取の準備を進めていく流れが一般的です。

 

受取請求に際し、亡くなられた方がどの生命保険を契約していたかは、通帳の引き落とし記録等から確認する事も可能ですが、

「一時払い」の生命保険契約もある為、通帳から全ての契約を把握する事は難しいでしょう。

預金や有価証券と異なり、生命保険に関しては契約の有無を一か所への請求で確認する事が可能です。

 

今回は相続における生命保険の取り扱いと生命保険の照会制度について解説致します。

 

1.相続における生命保険の取り扱い

 

【生命保険は遺産分割協議の対象になる?】

遺産分割協議の対象となる財産は、相続開始時かつ遺産分割時に存在し、被相続人に帰属する積極財産(不動産や現金預金等)で、遺言により承継が定まっていない財産です。(参考条文 907条)

したがって、受取人の指定がある生命保険金は承継が定まっており、受取人固有の財産となる為、遺産分割協議の対象になりません。

ただし、全ての保険契約が協議の対象外になるわけではありません。受取人の指定が無い場合等、分割協議が必要となるケースもあるので注意が必要です。

まずは保険会社に受取人が指定されているか否かを確認し、指定が無い場合は保険約款に「生命保険金の受取人が指定されていない時は民法上の法定相続分の割合による」等

の記載の有無で判断すると良いでしょう。

 

【税法上の保険金の取り扱い】

前述の通り、受取人が指定されている生命保険は遺産分割協議の対象外となる為、民法上では相続財産としては取り扱いません。

しかし、税法上は取扱いが異なります。死亡を起因とする生命保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは相続税の課税対象となります。

これを「みなし相続財産」と言います。(参考 相続税法第3条)

 

〇みなし相続財産

相続税法上、相続や遺贈によって取得した財産とみなされるもの。

ただし全ての生命保険金が対象ではありません。課税対象となるのは、以下の計算式に当てはめ、非課税限度額を超える場合に限ります。

[非課税限度額計算式] = 500万円 × 法定相続人の数

注意点として、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税制度の適用はありません。

また、上記の法定相続人の数には、相続放棄をした方も含みます。

 

2.生命保険契約照会制度

 

【契約有無の調査方法】

まず、生命保険契約の有無の調査は「生命保険協会」に依頼するところから始まります。

生命保険協会とは生命保険に関する様々な相談や照会、苦情等を受け付けている一般社団法人です。

この協会には日本国内で営業活動をする全ての生命保険会社が加入している為、調査を依頼することで保険会社への個別の問い合わせは不要となります。

調査には、協会が提供している「生命保険契約照会制度」を利用します。

 

【どういう時に使えるか】

平時の死亡または災害時*の死亡、認知判断能力の低下、行方不明によって生命保険契約に関する手がかりを失い、保険金等の請求を行う事が困難な場合等

において、契約の有無の照会を請求することが出来ます。

*災害救助法が適用された地域において被災し、家屋等の流失または焼失等により生命保険契約に関する請求が困難な場合。

 

注意点として、調査対象項目は生命保険契約の有無のみの為、契約の種類や受取人の調査、保険金等の請求の代行を依頼する事は出来ません。

また、財形保険契約及び財形年金保険契約、支払いが開始した年金保険契約、保険金等が据え置きとなっている保険契約も調査対象外です。

 

【照会制度の申し込み】

はじめに、提出が必要な書類の請求を行う為に、照会制度利用の申し込み手続きを行わなければなりません。

申し込み手続きはWEB、または書面による手続きを選択する事が出来ます。

注意点として、書面による申し込みを選択する場合でも、初回の連絡(=書面の郵送先や代表者名等を協会に申請する事)はホームページから

行う必要がある為、インターネットの環境を整えてからアクセスすると良いでしょう。

 

【用語の説明】

生命保険協会に提出する書類には、「照会対象者」「照会者」「照会代表者」といった類似語が多く使用されています。

一見どれも同じようなニュアンスですが、言葉の意味は全く異なる為、注意が必要です。

 

〇照会対象者・・・亡くなった方

〇照会者・・・亡くなった方の法定相続人

〇照会代表者・・・法定相続人の中の代表者

(代理人申請の場合)法定相続人の法定代理人または任意代理人

 

【提出書類】

協会が発行している依頼書の他に、死亡の記載がある戸籍や照会代表者の身分証明書等の公的書類は全て写し(コピー)の提出を求められます。

提出が必要な書類に「本籍地、新本籍、従前戸籍、入籍戸籍、マイナンバー」が記載されている場合は、該当箇所を黒塗りにする必要があります。

黒塗りを失念した場合は生命保険協会から連絡が入る為、注意しましょう。

相続税には申告期限があり、超過すると利息にあたる延滞税等が発生し、余分にお金を支払わなければならなくなる場合があります。

 

生命保険のみならず、期限内に把握しなければならない事はたくさんあるので、出来るだけ早めに専門家に相談すると良いでしょう。

 

 

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