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2023.4.13

11.相続人の中に行方不明者がいる場合の対応

11.相続人の中に行方不明者がいる場合の対応

相続人の中に「行方不明者」がいる場合、まずは「戸籍の附票」の調査(取得)を行います。

 

これは、共同相続人の1人が、行方が分からない相続人の「戸籍の附票」を取得することで、「(住民票上の)現住所」を調査するという方法です。

ほとんどの場合はこの方法で行方(現住所)が分かることが多いです。もし、住所について「職権消除」されている場合等で現住所が不明な場合は、

行方がわからなくなってから経過している年数やその背景により、家庭裁判所において、

 

●不在者財産管理人の選任申立て
 
●失踪宣告の申し立て

 

のいずれか(又は双方)の手続きを検討することとなります。

 

<もっと詳しく!>

 

相続人の中に行方不明者がいるとき

「行方不明者」でも、生存している限り、相続権がなくなるわけではありません。

相続で財産を分ける場合に原則として必要になる遺産分割協議は、相続権のある相続人全員で行う必要があります。

「行方不明者」がいた場合であっても、その人も含めて相続手続きを行わなければならないのが原則です。

したがって、相続手続きを進めるためには、まず「行方不明者の所在を調査」します。

 

調査しても「行方不明者」が見つからない場合には、家庭裁判所で「不在者財産管理人」を選任してもらって、当該管理人と遺産分割協議をするか、

あるいは家庭裁判所で「行方不明者」の「失踪宣告」をしてもらい死亡したものとみなされる(死亡擬制)ようにして、

「行方不明者」を相続人から除外して遺産分割協議をすることになります。

 

【行方不明者の所在を調査】

本籍地には、その場所に本籍を置く人の戸籍だけではなく「戸籍の附票」という書類が備えられています。

「戸籍の附票」とは、本籍地を置いている間の住所の履歴が記載されている書類です。

亡くなられた方の除籍を取得して、そこに記載されている行方不明の本籍を手掛かりにして追っていくと、行方不明者の現在の本籍がわかります。

その本籍地で「戸籍の附票」を取得すれば、行方不明の住所を確認することができます。

 

【行方不明者がみつからない場合の手続き】

確認した行方不明者の住所へ手紙を出したり、直接訪問したりしても、行方不明者が戸籍の附票で確認した住所に住んでいない場合もあります。

このような場合、以下の2つの方法を利用して相続手続きを進めていきます。

 

(1)不在者財産管理人の選任申立て

不在者財産管理人の選任申立てとは、従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない人、すなわち「不在者」の財産管理人の選任をしてもらう制度です。

利害関係人又は検察官が家庭裁判所に不在者財産管理人の選任申立て、その名のとおり「不在者」の財産を管理する人を選任してもらうことができます。

不在者財産管理人は、「不在者」の財産を管理・保存するほか、家庭裁判所の「権限外行為許可」を得た上で、「不在者」に代わって、遺産分割・不動産の売却等

を行うことができるので、相続手続きを進めることができます。

(参考条文:民法25条)

 

※注意点※

①不在者財産管理人の選任申立てについては、行方不明の期間に定めはありません。

ただ、「不在者」とは生死不明で当分帰ってくる見込みがない人なので、個々の事例ごとによって違いますが、行方不明の期間が数ヶ月では認められにくいと一般には考えられています。

なお、「生死不明」であることは求められていませんので、生存が明らかである場合でも申し立ては可能です。

②「不在者」が既に財産管理人を置いている、「不在者」に親権者、後見人等法定代理人がいる場合には、「不在者」の財産が管理されているので、申立は必要ありません。

 

(2)失踪宣告

失踪宣告とは、従来の住所又は居所を去り、容易に帰ってくる見込みのない人、すなわち「不在者」の生死不明の状態が継続した場合に、

「不在者」が死亡したものとして、身分上・財産上の法律関係を確定させる制度です。

 

失踪宣告には「普通失踪」と「特別失踪」の2種類があります。どちらも利害関係人が失踪宣告を家庭裁判所に申し立て、失踪宣告の審判を受けて死亡したものとみなされる制度です。

 

①普通失踪

「不在者」の生死が7年間明らかでない場合に、「不在者」の生存が確認された最後の時から7年以上経っている場合に利用できます。

 

②特別失踪

「不在者」が冬山登山の遭難や船舶の沈没に遭遇などの危難に遭遇したことで、生死が不明な場合に、その危難が去った後1年間「不在者」の行方が分からない場合に利用できます。

失踪宣告がなされると「不在者」は法的に「死亡したもの」と扱われる(死亡擬制)ため、不在者の相続人を遺産分割協議に加えることで相続手続きを進めることができます。

(参考条文:民法30条)

 

※注意点※

・失踪宣告がなされると「不在者」は法的に「死亡したもの」となります。「不在者」が戻ってくると信じているご家族がいる場合は配慮が必要となります。

 申立手続きには、関係者内でよく話し合うことが重要となります。

 

【不在者財産管理人と失踪宣告の4つの大きな相違点】

不在者財産管理人の選任申立と失踪宣告は、どちらも「不明者」に対する申立ですが、申立に必要な要件や効果に違いがあり、注意する必要あります。

 

相違点その1.行方不明である期間

(1)不在者財産管理人の選任申立て

 →行方不明である期間には定めはありません。

 

(2)失踪宣告の申立て

→普通失踪では最後に生存が確認された日から7年、

 特別失踪では危難が去った日から1年経過していることが必要となります。

 

相違点その2.予納金(申立てをする際に、申立人が、手続費用として裁判所が定める金銭)

(1)不在者財産管理人の選任申立て

→財産の管理費用や不在者財産管理人の報酬支払いのため、予納金が必要になる場合があります。

 

(2)失踪宣告の申立て

→予納金はありません。

 

相違点その3.申立をしてからの期間

(1)不在者財産管理人の選任申立て

→申立をしてから2、3ヶ月ほどで不在者財産管理人が選任されます。

 

(2)失踪宣告の申立て

→申立をしてから失踪宣告の審判確定まで1年ほどかかります。

 

相違点その4.申立による効果

(1)不在者財産管理人が選任

→「不在者」の代わりに財産を管理する人がいるだけで、「不在者」は行方不明のまま、生存しています。

 

(2)失踪宣告の審判が確定

→「不在者」は「死亡したもの」とされます。したがって、「不在者」に相続が発生することとなります。

 

 

上記の通りの相違点がございますが、行方不明者に対し「不在者財産管理人の選任」申立てと「失踪宣告」、どちらを利用するかについては、

「個別の事例ごとで判断」する必要があります。

 

そして、行方不明であることの証明に多数の書類が必要となること等を考慮すると、申立手続にかかる負担は小さくないため、

できるだけ早めに専門家に相談するようにしましょう。

 

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