2023.4.13
13.葬儀が終わった後に役所で行う基本的な手続き
ご葬儀や火葬が終わり、一息ついた後、被相続人が最後にお住まいだった市区町村役場にて行う手続きがいくつかあります。
代表的なものに、
被相続人に交付されていた「後期高齢者医療被保険者証(※75歳以上の場合)の返還手続き」及び「(喪主をされた方又はその任意代理人が行う)葬祭費等の請求手続き」の2つがあります。
その他、「介護保険被保険者証の返還(※過誤納があれば、その還付金請求手続き)」や、「障がい者手帳等の役所から発行されていたものの返却手続き」がございます。
また、公的年金や企業年金を受給されていた方が亡くなられた場合は、「年金手続き(死亡に伴う支給停止や同一生計者が行う未支給年金請求手続き等)」も忘れずに行うようにしましょう。
<もっと詳しく!>
大切な方が亡くなられて葬儀を終えた後、やらなければならない手続や、やったほうが良い手続きが複数あります。
手続きによっては期限が定められているものもあるため注意が必要です。どのような手続きがあるのか、どのくらいの期限を目安に手続きをすれば良いのかを詳しく見ていきましょう。
●後期高齢者医療被保険者証の返還手続き
亡くなられた方が75歳以上の場合や、一定の障害により認定を受けていた65歳以上の場合、後期高齢者医療制度が適用されているため、その被保険者証の返還手続きをする必要があります。
本来であれば届書の提出を行わなければなりませんが、死亡届の提出により届書の提出は不要となる場合があります。お住まいの管轄の役所での確認をしましょう。
また、役所から被保険者証の返還が求められることもありますので、病院での医療費等の精算が終わってから役所の窓口に持っていくようにすると良いでしょう。
注意点:後期高齢者医療制度は、それまで加入していた健康保険や国民健康保険を脱退することで適用されます。健康保険証や国民健康保険証(以下保険証等)が手元にある場合、
それらが有効な保険証等なのか確認しましょう。もし手元にある保険証等が有効であれば後期高齢者医療被保険者証は交付されていないので、保険証等が発行されている機関にて
返還手続きを行うようにしましょう。
(参考条文 高齢者の医療の確保に関する法律第50条、第54条第9項)
●葬祭費等の手続き
葬儀費用の負担を軽減するため、給付金がもらえる制度があります。
支給金額は管轄の役所によって異なりますので、役所の窓口やホームページなどでご確認ください。
給付金の申請は喪主をされた方またはその任意の代理人が行うことができます。
代理人が行う場合は喪主からの委任状が必要となりますのでご注意ください。
注意点:2年で時効となりますので、葬儀を終えたら忘れないうちに申請することをお勧めします。
(参考条文 国民健康保険法第58条、第110条)
(参考条文 高齢者の医療の確保に関する法律第86条、第160条)
●介護保険被保険者証の返還
亡くなられた方が65歳以上の場合や、40歳以上で要介護・要支援認定を受けていた場合、介護保険被保険者証が交付されているため、その資格喪失の手続きをする必要があります。
前述した後期高齢者医療制度と同じように、死亡届の提出によって届書が不要になる場合もありますので、役所の窓口にお問い合わせください。
原則、被保険者証を返還しなければなりませんが、紛失の場合の再発行等は不要となる場合がありますので、こちらも役所の窓口にてご確認ください。
また、納めすぎた保険料(過誤納)があれば、その還付金請求手続きも忘れずに行いましょう。
注意点:40歳以上65歳未満の方で要介護・要支援認定を受けていない方が亡くなった場合には介護保険被保険者証は発行されていないため、資格喪失手続きは不要となります。
(参考条文 介護保険法第9条)
●年金手続き
公的年金や企業年金を受給されていた方が亡くなられた場合は、受給停止の手続きを行う必要があります。
公的年金の場合は年金事務所や年金相談センターに、企業年金の場合は企業年金連合会で手続をすることになります。
この手続きが遅れると、知らないうちに年金が振り込まれ、年金を多くもらいすぎていることになり、後で返さなければならなくなりますので、早めに提出するようにしましょう。
また、亡くなられた方と「同一の生計にある者」は未支給年金を受け取ることができます。同居していた方が請求する場合の手続きは簡素ですが、別居していた場合は、生計を同一
としていたことを説明し、申立書を提出する必要があるため、手続きがやや難しくなります。
未支給年金は年金を受けている方が亡くなったときにまだ受け取っていない年金や、亡くなった日より後に振込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金のことをいいます。
注意点:日本年金機構にマイナンバーが収録されている方が亡くなった場合、死亡届を提出することで情報が共有されるため受給停止となり、手続きが不要となります。
マイナンバーカードをお持ちの方は日本年金機構に登録しておくことをお勧めします。
(参考条文 国民年金法第19条)
●その他の手続き
パスポート、障がい者手帳等の手帳をお持ちの方が亡くなった場合は、返納が義務とされているため、それらの返還手続きも忘れずに行いましょう。
運転免許証に関して返納の義務はありませんが、更新の通知等が亡くなられた方のご自宅に届きます。通知の停止を希望の場合は返納しておく必要があります。
注意点:マイナンバーカードは死亡届を出すことで自動的に効力は失われるため、返納の手続きは必要ありません。
(参考条文 旅券法第19条、身体障害者福祉法第16条)
●終わりに
やらなければならない手続きや、やったほうが良い手続き等が複数あり、混乱される方もいるかと思いますが、死亡届を出す際に窓口の方に聞いてみる、もしくは専門家に相談してみるのが良いでしょう。
今回ご紹介した手続きの他に、亡くなられた方の遺産の整理・分割も早いうちに行わなければならないので、一度専門家に相談して、今後のやるべきことを整理するのも一つでしょう。