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2023.4.13

14.亡くなられた方が外国籍の場合の注意点

14.亡くなられた方が外国籍の場合の注意点

被相続人が日本国籍を有していた場合、日本の法律(民法)が適用され、相続手続きを行うこととなります。

しかし日本国籍ではなく、外国籍を有していた方が亡くなられた場合、どの国に法律を適用するかが問題となります(国によって異なるため、必ずしも日本の法律が適用できないわけではございません)。

 

例えば、「特別永住者」の方で「韓国国籍」を持つ方が亡くなられた場合、有効な遺言書において適用する法律に係る指定がない限りは、

韓国の民法を適用することとなるため注意が必要です(法定相続人の範囲や法定相続分の計算が日本の民法とは異なります)。

 

<もっと詳しく!>

 

【最後の国籍はどこ?】

亡くなられた方が生前、海外で生まれ育ったとしても、死亡時点で日本国籍を有していた場合は日本の法律(民法)が適用され、相続手続を行う事になります。

他方で、外国籍を有していた方が日本で亡くなった場合、必ずしも日本の法律が適用されるとは限りません。

どの国の法律に則るかによって、相続手続きの進め方が変わってくるので注意が必要です。

 

【亡くなられた方が外国籍のときの相続法】

相続の手続を進めるにあたって、まずはどの国の相続法に基づくかを明確にする必要があります。このことを準拠法と言います。相続における準拠法には、2つの考え方が存在します。

 

① 相続統一主義

・・・相続財産が動産・不動産に関わらず、全ての相続の法律関係を亡くなった方の本国法(国籍を有していた国の法)または住所地法(住所地がある国の法)で決めるという考え方。

日本では、相続は亡くなられた方の本国法によって行うと定められている為、この相続統一主義を採用しています。

(参考条文 法の適用に関する通則法第36条)

 

② 相続分割主義

・・・相続財産を動産・不動産に分けて考え、不動産についてはその所在地の法律を準拠法とし、不動産以外の財産については亡くなった方の本国法または住所地法で決めるという考え方。

アメリカ、イギリス、中国等で採用されています。

 

【日本の法律が適用されるケース】

冒頭、「必ずしも日本の法律が適用されるとは限らない」と記載している通り、日本の法律が適用される場合も少なからずあります。

例えば、亡くなった外国籍の方が日本に不動産を所有していたケースで、その方の本国法が相続分割主義を採用している場合には、

不動産についてはその所在地の法律が適用される為、日本の法律に則って相続手続きが行われる事になります。

(参考条文 法の適用に関する通則法第41条)

 

【遺言があるケース】

外国籍の方でも、日本で遺言を作成する事は可能なので、作成を検討される方は少なからずいらっしゃるでしょう。

外国籍の方の遺言を使用する際の注意点として、前述の通り日本は相続統一主義を採用している為、被相続人の本国法に従って遺言の効力が決定します。

その為、日本の民法とは遺留分や法定相続人の範囲が異なり、遺言内容が当該範囲を侵害している場合があります。

まずは亡くなった方の本国法の相続人や相続分を確認すると良いでしょう。

 

【必要書類はどうやって手に入れる?】

金融機関や不動産登記等の相続手続きには、亡くなった方の出生から死亡までの一連の戸籍と、相続人の現在戸籍の提出を求められるのが一般的です。

ですが、亡くなった方や相続人が日本国籍を有していない場合、日本に戸籍はありません。帰化が許可されて初めて戸籍に記載されます。

 

日本と同じような戸籍制度を導入している国は、中華人民共和国(中国)と台湾のみです(※2023年3月9日現在)。

 

以前は韓国にも戸籍制度が存在しましたが、2008年1月1日の戸主制度廃止に伴い、戸籍制度が廃止され、「家族関係登録制度」に移行しました。

(参考 家族関係登録等に関する法律〔韓国〕)

 

したがって、2008年以降に亡くなった方が韓国国籍の場合は、出生から死亡までの従来の戸籍(除籍謄本)と新制度の証明書の両方の取得が必要になるので注意しましょう。

一見、戸籍収集が難しいと感じる方も少なくはないと思いますが、新制度の証明書は100%電算システムにより運用されており、従来の戸籍に関しても電算システムに移行が完了

している(一部事情により保留されたものを除く)ので、全国の韓国総領事館で発行してもらえます。領事館に直接出向く、もしくは郵送でも請求可能です。

なお、東京・大阪・福岡の領事館においては即日発行が可能です(郵送請求を除く)。

 

中国・台湾・韓国以外の国籍の方の場合は、以下の証明書が戸籍謄本等の代わりになる事もあります。

 

・出生証明書

・婚姻証明書

・死亡証明書

・宣誓供述書*

 

*相続人全員で、「私たちは被相続人の相続人であり、私たち以外に相続人はいません」という事を宣誓し、在日領事館や公証人の認証を得るもの。(参考 公証人法58条の2)

いずれも手続先によっては求められる書類が異なる場合がある為、まずは初回連絡の際に亡くなった方や相続人が外国籍である旨をお伝えすると良いでしょう。

 

言語の壁や外国の法律等、手続きを進める前段階に躓く事が多いので、早めに専門家に相談しましょう。

 

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