2023.9.28
【令和6年4月1日施行】法務局から「催告書」(申請の催告)が届いた場合の「正当な理由」について【相続登記義務】
【相続登記義務化(令和6年4月1日~)】
令和6年4月1日施行の不動産登記法改正により、「相続(を登記原因とした)登記申請」について、法律で定める期限内(自己のために相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日から3年以内等)に申請する義務が生じました。令和6年3月31日以前に発生したご相続につきましても、令和9年3月31日までに申請する義務が生じており、正当な理由なく登記申請等を行わない場合は、「10万円以下の過料」に処せられる可能性があることから、注意が必要です。詳しくは、以下のリンク先(法務省WEBサイト)にてご確認いただけます(→https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00435.html)。
1.もしも法務局から「催告書」が届いたら?
「登記官」は、不動産登記法によって申請すべき義務に違反して「過料」に処せられるべき者(※つまり、正当な理由なく、申請義務を果たさない者)があることを職務上知ったときは、これらの申請義務に違反した者に対して、相当の期間を定めてその申請をすべき旨を催告しなくてはなりません。これを「申請の催告」と言い、「催告書」という書類が法務局から書面で通知されることとなります。この「催告書」には、「登記の申請をしていないことにつき、正当な理由がある場合は、その具体的な事情」を記載する欄が設けられております。つまり、「正当な理由」が認められる可能性があり、認められれば、「10万円以下の過料」を支払う必要も無くなる仕組みとなっています。
2.具体的に、どういったことが「正当な理由」として認められる?
個別の事案における具体的な事情に応じて判断されることとなりますが、一般的に下記の代表的な「5つの理由」に該当すれば、「正当な理由」になり得るとされています。
(1)相続登記等の申請義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
(2)相続登記等の申請義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
(3)相続登記等の申請義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
(4)相続登記等の申請義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成31年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
(5)相続登記等の申請義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
なお、これら「正当な理由」について該当する場合には、「10万円以下の過料」の適用対象にはなりませんが、不動産登記法上の登記申請義務が無くなるわけではございません。そのため、法務局から「催告書」が到着しましたら、まずは「登記申請義務(又は相続人申告登記の申出)を果たす」ことを第一に考えると良いでしょう。何か不明な点がありましたら、全国対応の「相続シェルパ」へお気軽にご相談くださいませ。